確率6700万分の1超の奇跡 56歳のレッスンプロが2ホール連続ホールインワン : ゴルフ情報まとめてみた

シニアメジャー第3戦全米シニアオープンでの奇跡

　全米シニアオープンの2日目、ロードアイランド州のニューポートCCで、56歳のフランク・ベンセルが驚異的なプレーを見せました。彼はホールインワンを2回連続で達成し、海外シニアメジャーでの“奇跡的”な瞬間を作り出しました。

　ベンセルは前半の4番と5番、連続するパー3で立て続けにエースを決めました。「1つ目は本当にうれしくて“今日はアンダーパーで回れるかも”と思ったけど、2つ目は…。ただただ信じられなかった。あんなことが起こるなんて…。ボールがいいところに落ちたと思ったら、転がり始めて。みんな信じられなかった。頭がおかしくなりそうだった」と彼は会見で話しました。

　初日5オーバー「75」の出遅れを取り戻そうと、この日はアウトの第1組でスタートしたベンセル。1つ落として迎えた4番は打ち上げの184ydでした。メジャー11勝で世界ゴルフ殿堂入りの名手ウォルター・ヘーゲンから命名された、キャディで息子のヘーゲン君が7番アイアンを勧めましたが、ベンセルは6番アイアンを選択。203ydの5番のティショットも6Iだったのです。

　「家族や友達も大勢来ていて、みんな熱狂していた。一緒にプレーした仲間も同じで、みんな信じられなかった。すごかったよ」とベンセルはキャリア13度目と14度目のホールインワンを振り返りました。

　全米ゴルフ協会（USGA）によると、同じラウンドで2つのエースを出す確率は6700万分の1。連続エースの確率は記載されておらず、全米オープンなどを主催して129年になるUSGAの競技の歴史上、初の“奇跡”となりました。なお、国内女子ツアーでは山路晶が2021年「リゾートトラストレディス」2日目に女子ツアー史上初となる1ラウンド2度のホールインワンを記録しています。

　ベンセルはフロリダでレッスンプロとして生計を立てています。メジャー出場経験はレギュラーで全米オープン1度、全米プロ3度、シニアで全米プロシニア2度ありますが、本大会出場は初めて。また米ツアーでは6試合のプレー経験がありますが、獲得賞金はゼロ。シニアでもわずか2試合で5000ドル（80万円）にとどまっています。

　この日はエース2個のほかにバーディ、イーグルはなく7ボギーで「74」。通算9オーバーで予選落ちを喫しましたが、「これは明らかに永遠に記憶されるだろう。これがキャリアのハイライトかもしれない」と歴史的な一日を総括しました。この奇跡的な瞬間は、ゴルフの魅力とその予測不可能性を再確認させてくれます。ベンセルの偉業は、ゴルフファンにとって忘れられない一日となりました。