PGAツアーのウィンダム選手権(8月8日から11日まで、米ノースカロライナ州で開催)で、マット・クーチャー選手が物議を醸した行動をご紹介します。この大会は久常涼選手が優勝争いに加わりながら、惜しくも自己ベストの3位に入り、英国のアーロン・ライ選手がツアー初優勝を果たしました。

 しかし、公式には大会は終了していなかったのです。最終組でプレーしていたクーチャー選手が「暗すぎる」と18番ホールでプレーを中断し、翌朝に戻ってプレーすることを選択したためです。

 このベテラン選手は第2ラウンドを終えてトップに立っていましたが、大会はストームの影響で初日が中止となり、金曜に再開。その後も中断が続き、日没と相次いで予選の2ラウンドが終了したのは日曜の朝でした。そのまま決勝の36ホールを日曜一日で戦い抜いたのです。日照時間には限りがある中、日没は午後8時15分ほどでしたが、大会はサスペンデッドを告げるホーンを鳴らさずに最終組がプレーを終えたのは午後8時30分で、真っ暗な中でした。

 PGAツアーは通常、72ホールを1大会としていますが、今大会では54ホールなどに短縮することを避けるため、選手たちはほとんど休憩なく2ラウンド目に突入していました。

 しかし、優勝争いをする選手にとって暗闇の中でグリーン上のラインが見えないのは厳しい状況。実際、トップを走っていたマックス・グレイザーマン選手は16番ホールで4パットを叩いてしまいました。「暗かったせいかどうかは分からない。しかし、もっと早くにプレーをストップさせるべきだと思った」とクーチャー選手は語っています。彼は自分がプレーをやめれば若いグレイザーマン選手も止めやすいと判断し、中止を声をかけましたが、グレイザーマン選手はプレーを続行し、最終的には2位に入りました。

 月曜にプレーを終えたクーチャー選手は「僕のために多くの人がコースに来なければならず、とても申し訳ないことをした」と謝罪しました。一方で、彼の行動を身勝手だと非難する声もありますが、選手として権利を遂行したという意見もあります。72ホール競技の成立が第一目的になってしまうことについて、しばらく論争が続くことでしょう。




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(出典:中日スポーツ)