「ベアトロフィー」とは？日本選手獲得者ゼロの現状とは : ゴルフ情報まとめてみた

　「ベアトロフィー」とは、米国女子ツアーで平均ストローク1位の選手に授与される賞です。具体的には、個人のストロークプレーのみで通算60ラウンド以上、ダブルス戦やマッチプレーを含めると通算70ラウンド以上の条件をクリアした選手の中で、平均ストローク最上位者が該当します。つまり、出場数が少ない選手は資格を得られないのです。

　現在、古江彩佳は平均ストローク69.887で部門1位に立っています。彼女は今季、ツアータイ記録の5連勝を含む計6勝を挙げており、ネリー・コルダ（米国）を抑えての1位となっています。コルダは6勝目を挙げた「みずほアメリカズオープン」終了時の平均ストロークが69.125で、その後の失速により現在は69.976まで後退しています。

　「ベアトロフィー」は重みのある賞で、米女子プロゴルフ協会設立4年目の1953年から授与されています。その歴史はプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを超えており、その名前は伝説的な米国人アマチュアプレーヤー、グレナ・コレット・ベアに由来しています。彼女は全米女子アマで6勝を挙げ、カナダ女子アマやフランス女子アマも制していました。同時代に活躍した球聖ボビー・ジョーンズを引き合いに“女性版ボビー・ジョーンズ”とも称されるほどの選手でした。

　日本人選手では、岡本綾子が1987年にプレーヤー・オブ・ザ・イヤーと賞金女王を獲得しましたが、平均ストロークは2位に甘んじています。岡本は翌1988年に初めて平均ストローク1位になりましたが、規定ラウンド数に届かずベアトロフィーは部門2位のコリン・ウォーカーに渡りました。他の日本人選手の平均ストローク最上位は2009年の宮里藍と2021年の笹生優花で、5位以内に入ったことがあるのはこの4人だけです。

　古江はドライビングディスタンスが昨年より5ヤード伸びて250.75ヤードを記録しています。この飛距離アップがパー5の好スコアにつながっていることは間違いありません。さらに、3打目の精度も高く、ショートアイアンやウエッジでピンに絡めてくる技術を持っています。今週の「ISPS HANDA女子スコティッシュオープン」で再びビッグスコアをマークすれば、ベアトロフィー獲得への布石となることでしょう。